6/22 熊野古道ふらり散策
今日は人とゆるく繋がれた楽しい旅だった。
午前7時、起床。
眠れなさすぎて笑うけど、バスの本数そんなにないし急がなきゃ。
ってことで朝8時前に出発。したのだけど、5分の差で乗りたいバスに乗れなかった…。次のバスは11:30…!?やっちまったぜ。
どうしようかなあ、って思いながらトイレに行くと、閉まったままの個室からケータイの音。誰かが寝ているらしい。
めちゃめちゃ人懐こい掃除のおばちゃんに相談されたけど、わたしそれどころじゃないんです〜。
でもやることもないし(バスがないので)うんうん、って聞いてたらバスのおっちゃんを紹介してくれた。おっちゃんに色々教えて貰って、「旅行に来たのに勉強不足やなあ」と耳に痛いお言葉。恐縮です。
9時10分にバスがくるらしいので、当初の「発心門王子→熊野本宮大社」は諦め、「滝尻→熊野中野大社」まで歩くことに。9時に開いた観光センターに飛び込んで教えてもらったり、その間にトイレに警察がきたり、同じコンビニに3回行ったりしながらなんとかバスに乗車。
滝尻でおりて、いざ、熊野古道に出発!
10時ごろ。
小さな神社で参拝してから、山道に入ります。
情報溢れる世界から切り離されたみたいな、緑と土しかない世界。舗装はされていないから当然足場を悪い。周りにはわたし以外誰もいなくて、一人で自然と闘ってるみたいなそんな気持ちだった。
急な坂道が続くからすぐに息が上がる。汗もダラダラ流れるし、日焼け止めを塗った首元が染みて痛かった。
滝尻王子→不寝王子をこえたところで、母胎くぐりがあった。岩の隙間のほら穴をくぐりぬけることで、安産の祈願ができるのだとか。
折角だしとはいってみたけど、予想以上に狭い狭い。人類の中でも小柄な方だけど、穴を覗いた瞬間に「これは人類向けの穴なのか?」と疑問を持たざるを得なかったし、最後くぐり抜ける瞬間も、カメラとか荷物とかを先に放り出さないと身動きも取れなかった。フェンスに顔が挟まって抜けなくなった子供の動画を思い出した。なんとかくぐることが出来てほんとよかった。警察のお世話にならなくて。
そのあとはもうひたすらに登る、歩く。たまにしんどくて座り込んで休憩した。
わたししかいない世界で、鳥と葉っぱの音を聞いていたら、なんだかもう仕事とかお金とか、ほんとは小さいことなのかもしれないなって思った。生きていくのに必要だけど、もっといろんな生き方がある。
少しだけ気が楽になった。
時折すれ違う人と「こんにちは」と挨拶するのが心地いい。展望台に登って、山と田んぼと人と、遠くに小さく見渡した。
道を間違えそうになった時には、たまたま通りがかったトラックのお兄さんが教えてくれた。
途中で見かけた木工作品の展示を覗いた。
カラカラと戸が開けた瞬間に鼻に飛び込む木の香り。丸みのあって柔らかい写真立てなどの数々。
中でも、メガネかけが可愛すぎて衝動買いしてしまった。いつもメガネどっかいっちゃうし、ペンたてにもなるから便利そう。1500円とお買い得。
木工の可能性って結構あるな。帰ったらおじいちゃんに弟子入りしようかな。
そして歩き続けて2時間。
12時ごろに、熊野中野神社に到着。
本宮ではないから小さな神社だったけど、やっと人里に戻ってきた感がすごい。
国際色豊かな芳名帳に私の名前も入れておいた。
ここらで一旦休憩しようと、休憩所へ。北海道のものとはまた違う「いも餅」なるものがあったので好奇心で購入。
おばちゃんに教えてもらったカフェへ行くと、なんとさっきのトラックのお兄さんがいた。びっくりした。
カフェ「霧の郷 たかはら」。
ここでハンバーグ定食980円を注文。
これがほんとに美味しくてびっくりした。手作りのハンバーグは柔らかくてほろほろ崩れるし、そこにかかるトマトソースも目玉焼きとバッチリ合う◎
店員さん達もすごく楽しそうで、お客さんとの会話を楽しんでいるのがうれしかった。
就活生とか、阪大生とか、どこぞの内定者だとか、そんなステータスが一切関係ない「わたし」として接してくれるのが本当にうれしかった。わたしは「わたし」らしく生きれればそれでいいのかなって。
さて、予想以上に疲れたし、手荷物も増えたからこのまま帰るか迷ったけれど、折角だし本宮まで行くことに。バスを使って楽しちゃいます〜。
13:35 栗栖川
↓
14:55 熊野本宮大社
バスの中で困ってる外国人の人がいたから、思い切って話しかけてみたけど全然役に立てなくて悲しかった…。
到着してから、まずは本宮へ。
五つの御神体があったから、順番に巡ったり、御朱印を頂いたり。ゆっくりと流れる時の中で参拝を楽しむ。
結構歩きで来てる人は少ない印象。熊野古道の目的地だからほとんど歩きかと思ってた。
ここで売ってた詣で餅が美味しかったんだけど、実家へのお土産にはちょっと賞味期限が短かったから断念。
それから、日本一大きい鳥居のある大齋原へ。
遠目から見ても、並び立つ木々が小さく見えるほど大きい。
くぐる時に見上げてみたけれど、大きすぎて首が痛いし全貌が視界に入らない。ものすごいインパクト。
鳥居の向こうには戦の跡地があったけど、時が止まった空間みたいで神秘的だった。
ちょっと疲れたから休憩所へ。
飲むみかん、なる100%オレンジジュースを片手に、さつまいものいも餅をぱくり。これが結構重量感があっておなかいっぱいになった。
そろそろ時間が来たのでバス停に戻る。
隣のベンチで待っていた外国人のお姉さんに話しかけてみると、熊野古道を歩いてきたとのこと。22kmも!
滝尻から中野神社で諦めたわたしとは大違い。
オランダ出身で、今は夫と台湾に住んでるとか。このへんいまいち聞き取れなくてどんな仕事してるのかはわからなかった。
すごくかわいいお姉さんで、バス停の名前がわからないっていうので「私が代わりに押すよ!」というとすごく嬉しそうにしてくれた。私も嬉しい。
お姉さんが降りてからはまた、答えの出ない将来像についてぐるぐる考えていたら紀伊田辺に到着した。19時00分くらい。
ゲストハウスへの帰り道のディスカウントショップで、野菜ジュースとヨーグルト、お惣菜を買って帰る。
帰ると、新しいお客さんが来てた。ウルグアイのお姉さんと、イギリスのお兄さん。最初アメリカと勘違いしてごめんなさい。
挨拶すると、そのままワインを勧められたのでご相反に預かることに。多分今までで一番リスニングしてたぐらい、ばあーって話されて、全然自分の意見言えなくて辛かった。
でも、前よりは何を話しているかわかるようになった気がする。
メディアのリテラシーとか、政治の話とか、宗教の話とか、ものすごく教養を感じる話題が多かった。なんか私のいつもしてる会話ってめちゃくちゃレベル低いんだなって感じた。
途中から来たニュージーランドに住んでる日本人の子は、もうぺらぺらで自分の意見がすごくあってかっこよかった。ああいうふうになれたらいいなあ。やっぱり留学行こう。
結局その日もあんまり寝れなくて、どうしようもないことをうだうだ考える夜だった。煮え切らない自分が嫌になるなあ。
理想と現実の問題だから、自分の中で落とし込めればどこでだって楽しく働けるはずなのに。
ああ、自分の未来が決まっていくのがこわい。